わが魂は輝く水なり
昨夜、渋谷のシアターコクーンで「わが魂は輝く水なり」を見てきた。
演出:蜷川幸雄
主演:野村萬斎(実盛) 尾上菊之介(五郎)
時は源平合戦の頃、命を救った木曽義仲に攻め込まれ
命を落とす斎藤実盛と、死して後、亡霊として父に纏う五郎の話。
さて、この舞台において、実は時代背景はあまり関係ない。
軋轢? いや違う。
貴族と武家の政権争い真っ只中のこの時代、
坂東武者として、名を貫いた剛の者、斎藤実盛。
父の元を離れ、森の民、木曽義仲の一族に加わり、
そして不慮の死を遂げた斎藤五郎。
若き日の想い、老いさらばえて去来する幻想。
その心意気。
舞台は激しく入れ替わるが、
印象に残るのは、父実盛と、純粋に行く末を案じて助けようとする子五郎の
二人の場面。
死を前にして、実盛は自らの内に水の流れを聞く。
清々しい水音。
なんと美しい光景だろう。
なんと見事な生だろう。
その一瞬が永遠の輝きを持つ。
禍々しい背景に包まれながら、
しかし人生を肯定したかにも思えるこの作品。
素晴らしい。
萬斎さんも見事だった。
狂言的な諧謔が、そのまま人生の鏡となり、
悲劇は喜劇と化し、それでいて哀しいほどに純粋な思いを語る。
初めてお目にかかる菊之介さんは、中性的な、
妖精のようなお方だった。
この二人の出会いは、観客にとっても、
また演者自身にとっても、
非常に幸福な出来事であったに違いない。
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